私は他処者である。たまたま白浜に住み付いて宿泊業を営むことになったのだが、白浜を知るにつけ現状について心が痛む。
昭和30年、富士箱根国立公園に伊豆が加わり、富士箱根伊豆国立公園となった(それ迄は伊豆国定公園)。55年前のことだが、当時の写真を見たことがある。国道135号の原型が出来た頃で、両側に松が覆い繁いて、正に「白砂青松」そのもの。
その松が今では一本もない。建築の邪魔だとか、海がもっと良く見えるようにとかで、地元の人達が切ってしまったらしい。
松林は防風、防砂の役を果たしていたが、今では沖合いからの暴風によって砂が吹き上げられ、国道上は勿論のこと、山に向かって飛び去る。
もっとも、冬になると半島は西風が吹き荒れるので、山に散った砂が舞い戻ることはあった。自然の循環なのだが、そこに人間の手が加わると自然は壊れる。
地元では白浜を「大浜」と称しているが、この大浜が徐々に小浜化してきている。
この写真は6月初旬に撮ったのだが、ライフセービング大会が行われる為、海側の砂を取り寄せ国道と同じ高さで平らにしたもの。
傾らかな砂浜ではなくなった。どこまで元に戻すのやら。
下田白浜
サニーステップ
追 - 本来国立公園の中では形状を変えてはならないと思うのだが。
60過ぎの人達は皆言うのである。「俺の子供の頃はもっとサラサラしていて白く、浜は沖まで巾も広かった」と。今から50年前である。
まずはその白さ。「夏は眩しくて薄目で歩いたものヨ」。白さに加えてキラキラと輝く粒子であったそうだ。そしてその砂は両手で掬うと指の間からサーと落ちたそうだ。
聞くところによると、半島から40km程離れた新島付近を流れる黒潮が、海底にある溶岩の溶岩の白灰岩群を少しづつ削り、相模湾の手前でUターンして半島沿いに南に下り、白浜で堆積するらしい。
その間に粒の大きいものは潮から落下し、小さな砂だけが打ち上げられる。
キラキラするのは、その中に水晶の粉末が入っているのかも知れない。
この白浜が「茶浜」になりかけ、サラサラはモタモタになってきている。
この50年、夏季だけで30~40万人から多いときは70万人の観光客がいらしている。
私はつくづく思うのだが、研究機関が是非共土砂分析をして何が原因なのか追究してもらいたいと考えている。
今年から熱海市は浜での喫煙を禁止するそうな。ひと頃私は一人で浜でのゴミ拾いをしていたのだが、ペットボトルのキャップの多さに魂消て、それ以来多勢に無勢とあきらめてしまった。
次は浜の巾。